猫はいない?香港キャットストリートの由来とレトロ骨董街最新ガイド
香港島の下町情緒と洗練されたカルチャーが交錯する上環(ションワン)エリア。その路地裏に、世界中のヴィンテージ愛好家や観光客を引きつけてやまないストリートが存在します。通称「キャットストリート」と呼ばれるこの通りは、レトロな看板や掘り出し物の骨董品がひしめく香港屈指の観光名所です。
しかし、愛らしい名前に惹かれて訪れた旅行者が真っ先に抱くのは「どこを探しても猫が見当たらない」という疑問でしょう。ノスタルジックな露店が連なる摩訶不思議な通りの背景には、香港の歴史とディープな裏文化が隠されています。本場の歩き方や購入時の注意点を含め、現地のリアルな熱気をお届けします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「キャットストリート」の名称は猫の生息地ではなく、かつて盗品(ネズミ)を買い取る店(猫)が密集していた歴史的背景に由来する。
- 要点2:露店に並ぶ骨董品には精巧な現代のレプリカも多いため、高額な美術品狙いではなく「キッチュなレトロ雑貨・お土産」として楽しむのが賢い買い方。
- 要点3:最寄りの上環駅から徒歩約8分。最古の道教寺院「文武廟(マンモーミュウ)」やハリウッドロードのギャラリー街と合わせた散策ルートが最適。
【摩訶不思議】なぜ「キャットストリート」?猫がいない名前の由来と歴史
キャットストリートの正式名称は、漢字で「摩羅上街(Upper Lascar Row / アッパー・ラスカー・ロウ)」と表記されます。通りのどこを見渡しても猫の姿は見当たりません。このユニークな通称がついた理由は、19世紀半ばから20世紀にかけての香港の闇市文化に遡ります。
当時、この界隈には盗品を売りさばく露店が数多く並んでいました。広東語のスラングでは、盗品を「ネズミの品(鼠貨)」と呼び、それを安く買い取って転売する古物商を「ネズミを捕まえる猫(猫店)」と呼んでいました。そこから転じて、「猫たちが集まる通り=キャットストリート」という呼び名が定着したのです。
一方、正式名称にある「摩羅(ラスカー)」とは、イギリス植民地時代にイギリス軍や警察に従事していたインド系水兵・警察官を指す古い呼び名です。彼らがこの周辺に居住し、マーケットを開いていたことから名付けられました。怪しげな盗品マーケットから始まったストリートは、時代の移り変わりとともに合法的な蚤の市へと姿を変え、現在では香港を代表するヴィンテージストリートへと昇華しています。
【見どころ】レトロ雑貨とお宝が眠る骨董街の魅力と定番お土産
全長200メートルほどの緩やかな坂道には、小さな路面店や屋台のような露店がぎっしりと軒を連ねています。並んでいるアイテムのジャンルはまさに玉石混交。映画『燃えよドラゴン』で知られるブルース・リーのヴィンテージポスター、毛沢東のイラストが描かれた文化大革命時代のバッジ、古い絵葉書、オールドシノワズリの茶器、アヘンパイプの置物まで、香港の歴史の断片が所狭しと並びます。
観光客に特に人気のお土産は、昭和レトロにも通じるキッチュな香港雑貨です。1970〜80年代の香港映画のブロマイドや、昔の広告マッチ箱、レトロな木製トランプなどは、1つ数十香港ドル(数百円〜千円程度)から手に入り、友人へのばらまき土産にも重宝します。
部屋のインテリアアクセントになる真鍮製のドアノブや小さな薬箱、アンティーク調のアクセサリーなど、じっくり探せば自分だけの一点モノに出合えるのがこの街の醍醐味です。
【本物vs偽物】骨董品の目利きとトラブルを防ぐ購入時の注意点
キャットストリートを歩く際、心に留めておくべき鉄則があります。それは「露店に並ぶ高価そうな古美術品の大半は、精巧に作られたレプリカ(現代の工芸品)である」という点です。
店頭には明代や清代の陶磁器、翡翠(ヒスイ)の彫刻、古い青銅器などが「掘り出し物のアンティーク」のような顔をして並んでいますが、数千円〜数万円程度で本物の歴史的文化財が手に入ることはまずありません。これらは観光客向けのイミテーション雑貨として作られたものがほとんどです。
トラブルを避けるための心得は以下の3点です。
- 資産価値を求めない:「本物のアンティーク」ではなく「見た目が可愛いレトロインテリア」として納得できる価格でのみ購入する。
- 高額な翡翠や古美術は専門店へ:本格的な骨董品を探す場合は、一本北側を走るハリウッドロード沿いの老舗ギャラリーや鑑定書を発行できる専門店を利用する。
- スマートな値下げ交渉を楽しむ:複数個まとめ買いする際は「平啲啦(ペンテイーラ=安くして)」と笑顔で交渉してみるのが現地流。ただし過度な値切りはマナー違反となるため、1〜2割程度の端数を引いてもらう感覚がスマートです。
【現地アクセス】上環駅からの行き方と店舗の営業時間・おすすめの時間帯
キャットストリートへのアクセスは、MTR(地下鉄)港島線の「上環(ションワン)駅」を起点にするのが最もスムーズです。
【上環駅からの徒歩ルート】
上環駅のA2出口またはE2出口を出て、まずは「文咸東街(Bonham Strand)」を西へ進みます。その後、急な階段が続く「急庇利街(Cleverly Street)」や「キャッスル・ロード」を山側(南方向)へ上り、ハリウッドロードを越えた細い路地が摩羅上街(キャットストリート)です。駅から徒歩で約7〜10分で到着します。香港島特有の急勾配や階段が多いため、歩きやすいスニーカーでの訪問が必須です。
【営業時間とベストな訪問タイミング】
露店やショップの営業時間は、おおむね10:30〜18:00前後です。午前中の早い時間帯はシャッターが閉まっている店が多く、夕方を過ぎると片付けが始まります。露店がすべて開き、活気に満ちる11:30〜16:00頃を目指して訪れるのが最適です。また、雨天時は露店が出店を見合わせることがあるため、晴れた日の散策をおすすめします。
【王道散策ルート】文武廟(マンモーミュウ)からハリウッドロード、最新お洒落カフェへ
キャットストリート単体であれば30分〜1時間ほどで見て回れますが、周辺のカルチャースポットと組み合わせることで、上環エリアの魅力を余すところなく味わえます。
おすすめの王道半日コースは以下の通りです。
① 文武廟(マンモーミュウ)で歴史と静けさに触れる
まずは1847年に建立された香港最古の道教寺院「文武廟」へ。天井一面に吊るされた巨大な渦巻き線香から立ち上る煙と、厳かな光のコントラストは圧巻の美しさです。学問と武勇の神が祀られており、パワースポットとしても知られています。
② ハリウッドロード(荷李活道)のウォールアート鑑賞
文武廟の目の前を通るハリウッドロードは、世界的なアーティストが手掛けたストリートアート(壁画)が点在するフォトジェニックな通り。本格的なアンティークショップをガラス越しに眺めながら歩くだけでも刺激的です。
③ キャットストリート(摩羅上街)でお宝探し
階段を下りてキャットストリートへ合流し、露店を冷やかしながら掘り出し物のお土産を探します。
④ 元警察宿舎「PMQ」と隠れ家カフェでひと休み
散策の締めくくりには、歴史的建造物をリノベーションしたクリエイティブ複合施設「PMQ」へ。香港の若手デザイナーによるセレクトショップを覗いた後は、周辺に密集するスペシャルティコーヒー専門店でエッグタルトや極上の一杯を味わうのが上環の贅沢な過ごし方です。
【2026年現在】進化する上環とキャットストリートのリアル
再開発とデジタル化が急速に進む香港ですが、キャットストリートの空気感には今なお独自の時間が流れています。古びた露店が並ぶ一方で、通り沿いには洗練されたインディペンデント系ギャラリーや、ヴィンテージ家具を扱うモダンなショップが違和感なく溶け込んでいます。
決済環境の面では、昔ながらの現金(香港ドル)払いが基本だった露店でも、オクトパスカード(八達通)やQRコード決済(AlipayHK、WeChat Pay)を導入する店舗が着実に増加しました。しかし、数ドルの細かな小物を買う際やスムーズな端数学割を狙う場面では、依然として20ドル札や50ドル札といった小額紙幣の現金が大活躍します。
高層ビル群の足元に広がる、どこか泥臭く、それでいて圧倒的にハイセンスな蚤の市。下町情緒とトレンドが同居するこの風景こそが、旅人を惹きつけてやまない香港の原風景です。
【香港キャットストリート】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:キャットストリートで買い物をするとき、クレジットカードは使えますか?
A1:通り沿いの固定店舗(ギャラリーやブティック)ではクレジットカードが使える場合が多いですが、屋外に出ている小さな露店では使えないケースがほとんどです。露店でのお宝探しには、現金(香港ドルの小額紙幣や硬貨)またはオクトパスカードを準備しておくと安心です。
Q2:値札が付いていない商品が多いですが、どうやって買えばいいですか?
A2:指を指しながら英語で「How much?(ハウマッチ?)」と尋ねれば、電卓で金額を見せてくれます。言い値で即決せず、複数購入を条件に「Could you give me a discount?」と軽く交渉してみるのも蚤の市の醍醐味です。
Q3:露店の商品の写真を撮影しても大丈夫ですか?
A3:通りの風景を撮影する程度であれば問題ありませんが、特定の骨董品を至近距離で撮影したり、店主を無断で接写したりすることは嫌がられる場合があります。商品をじっくり撮りたいときは、一言「May I take a photo?」と声をかけてマナーを守りましょう。
まとめ:ノスタルジックな香港の記憶を探す散策へ
猫がいないのに「キャットストリート」と呼ばれるこの通りは、かつての混沌とした香港のエネルギーと、現代のクリエイティブなカルチャーが交差する唯一無二の空間です。
ガラクタの山に見える露店の片隅から、自分だけの特別なヴィンテージ品を見つけ出したときの高揚感は格別です。上環の歴史ある寺院や坂道のカフェ巡りと合わせて、香港の奥深い歴史とお宝探しの旅へ出かけてみてください。 (出典: 香港 キャット ストリート(Yahoo!ニュース))