箱根くらかけゴルフ場閉鎖の真相と跡地メガソーラー計画の現在
神奈川県と静岡県の境界、富士山や駿河湾を望む鞍掛山の稜線にかつて広がっていた「箱根くらかけゴルフ場(箱根くらかけカントリークラブ)」。戦略性に富んだコースレイアウトと抜群のパノラマビューで多くのゴルファーに親しまれながらも、突如としてその歴史に幕を下ろしました。閉鎖から年月が経過した今もなお、ゴルファーの間では当時の思い出が語り継がれる一方、ネット上では「なぜ突然閉鎖されたのか」「広大な跡地はどうなっているのか」といった疑問が絶えません。
特に近年は、跡地における大規模太陽光発電(鞍掛山メガソーラー計画)を巡る開発問題や自治体の景観条例との衝突がクローズアップされ、リゾート開発と環境保全のあり方を問う象徴的な事案として再び脚光を浴びています。現地調査データや関係自治体の公開資料、当時のゴルファーたちの証言をもとに、箱根くらかけゴルフ場の歩んだ歴史、営業終了に至った決定的な構造要因、そして跡地を巡る利害対立の全貌を客観的に解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:箱根くらかけゴルフ場は鞍掛山の絶景を活かした名コースだったが、バブル崩壊後の市場縮小、気象リスク、老朽化による採算悪化で閉鎖された。
- 要点2:広大な跡地には「鞍掛山メガソーラー計画」が浮上し、土砂災害リスクや富士箱根伊豆国立公園の景観保護を巡り地元で激しい反対運動が起きた。
- 要点3:現在は自治体の環境保全条例や法規制の強化により計画は事実上の膠着・見直しを余儀なくされ、リゾート跡地活用の教訓となっている。
【歴史と変遷】絶景を誇った箱根くらかけゴルフ場の誕生とコースレイアウト
箱根外輪山の一角、標高およそ1,000メートル前後に位置する鞍掛山周辺は、昭和40年代から50年代にかけての高度経済成長期からバブル期にかけて、首都圏近郊の屈指のリゾート地として開発が進められました。その中心的な存在の一つとして開場したのが、箱根くらかけゴルフ場(箱根くらかけカントリークラブ)です。
最大の特徴は、何と言っても富士山と駿河湾、そして芦ノ湖を眼下に見下ろす圧倒的なパノラマロケーションでした。コースレイアウトは山岳・丘陵地特有の自然の起伏を大胆に取り入れており、フェアウェイのアンジュレーション(うねり)や谷越えのショット、風の計算がスコアメイクを大きく左右するテクニカルな18ホールで構成されていました。
当時のコースを知るベテランシングルプレーヤーは、ゴルフ専門誌の手記で次のように振り返っています。「晴れた日の景観は息をのむほど素晴らしかったが、鞍掛山特有の強風と霧が立ち込めると一気に牙をむく。フラットな林間コースでは決して味わえない、自然と対峙する緊張感に満ちたゴルフ場だった」。春から夏にかけての避暑地ラウンドはもちろん、首都圏からのアクセス性の良さも手伝い、ピーク時には年間を通じて数多くのプレーヤーで賑わいました。

閉鎖の決定的な理由とは?運営会社の経営判断とゴルフ場業界の構造不況
名門リゾートコースとして名を馳せた箱根くらかけゴルフ場がなぜ営業終了・廃止へと追い込まれたのか。報道関係資料や帝国データバンク等の企業信用調査、業界関係者の証言を総合すると、単一のトラブルではなく「マクロ経済の変化」「立地特有の気象リスク」「設備更新コストの限界」という3つの構造的要因が重なった結果であることが浮かび上がってきます。
第一の要因は、バブル崩壊以降に進行した「ゴルフ人口の急減と低価格競争」です。1990年代初頭をピークに国内のゴルフ場来場者数は右肩下がりを続け、ビジタープレーフィの下落が経営を直撃しました。運営会社は収益性の改善を模索したものの、預託金返還問題やプレー料金のダンピング合戦の中で収益構造は極めて脆弱化していきました。
第二の要因は、鞍掛山という高標高・急傾斜地ならではの「営業可能日数の制約」です。冬季の積雪や路面凍結によるクローズ期間が長く、春から秋にかけても山特有の濃霧や強風によるプレー中断が頻発しました。温暖な平野部のゴルフ場に比べて年間稼働日数が著しく少なく、固定費を回収するのが構造的に困難な立地条件でした。
第三の要因として、開場から数十年を経て迎えたクラブハウスやカート道路、散水設備、擁壁などの大規模修繕時期において、莫大な再投資に見合う採算が見込めなくなった点が挙げられます。運営会社の経営判断として、将来的な赤字拡大を回避するために事業継続を断念し、ゴルフ場事業からの撤退・廃止を決定するに至りました。
【徹底比較】箱根エリアの主要ゴルフ場とくらかけゴルフ場のスペック対比
箱根エリアには今なお営業を続ける名門コースが複数存在します。箱根くらかけゴルフ場がどのような立ち位置にあったのか、客観的なデータをもとに比較検証します。
| 項目 | 箱根くらかけゴルフ場(閉鎖前) | 箱根エリア既存名門コース平均 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 立地標高 | 約950m〜1,000m(鞍掛山稜線) | 約650m〜800m(仙石原・湖畔周辺) | 絶景を誇る反面、濃霧・強風・積雪の影響を最も強く受ける立地。 |
| コース特性 | 山岳・アップダウン大(トリッキー) | 高原・丘陵(フラット〜適度な傾斜) | 挑戦意欲を掻き立てるが、シニア層や初心者には難度が高かった。 |
| 年間稼働日数 | 約220日〜240日前後(推定) | 約280日〜310日前後 | 天候要因によるクローズ日数が多く、稼働率の面で不利だった。 |
| 現在の状況 | 営業廃止/跡地利用を巡る係争・凍結 | 営業継続中(高級リゾート・会員制強化) | 箱根のゴルフ場再編期において事業転換を選択した典型例。 |

跡地を巡る「鞍掛山メガソーラー計画」の真相と地元で起きた激震
ゴルフ場が閉鎖された後、広大な未利用地となった鞍掛山一帯に持ち上がったのが、大規模太陽光発電所(鞍掛山メガソーラー)の建設計画でした。FIT(再生可能エネルギー固定価格買い取り制度)の導入以降、全国各地でゴルフ場跡地がメガソーラー用地として転用される動きが加速しており、箱根くらかけゴルフ場跡地もその対象となったのです。
しかし、この計画が公表されるやいなや、地元住民や隣接する自治体(神奈川県箱根町、静岡県熱海市、函南町など)から猛烈な反対運動が巻き起こりました。問題視されたのは主に以下の点です。
- 土砂災害・水害リスク:鞍掛山は急峻な地形であり、森林伐採や造成工事によって豪雨時の土砂崩れや保水力低下による下流河川の氾濫が懸念されたこと。
- 国立公園の景観破壊:富士箱根伊豆国立公園に隣接する風光明媚な山肌に黒いソーラーパネルが敷き詰められることによる観光資源への深刻なダメージ。
- 水源涵養機能の喪失:地域住民や温泉地が依存する地下水・湧水への影響に対する懸念。
地元自治体は景観保全条例や太陽光発電施設規制条例を相次いで制定・強化し、事業者に対して厳格な安全基準や住民同意を求めました。これにより開発計画は長期にわたり暗礁に乗り上げ、激しい議論が交わされることとなりました。
【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたコースの光と影
かつて現地でプレーしたゴルファーたちの回顧録や口コミ、ネット掲示板に残された一次証言を丹念に追うと、箱根くらかけゴルフ場が持っていた「唯一無二の魅力」と「避けられなかった課題」が浮き彫りになります。
「谷越えのショートホールで海風を読み切れずボールを何個もロストしたが、クラブハウスから見た夕暮れの駿河湾は一生忘れられない景色だった」「スタッフのアットホームな接客が好きで通っていたが、晩年は芝のメンテナンスが行き届かなくなっていたのが寂しかった」など、コースへの愛着と同時に衰退の予兆を感じ取っていたプレーヤーは少なくありませんでした。
現場目線で見れば、自然のダイナミズムを最大限に享受できる設計であったからこそ、ひとたび天候が崩れれば厳しい環境となり、コース管理にかかる維持コストも平坦なコースの数倍に膨らんでいました。利用者の生の声は、リゾートゴルフ場の理想と過酷な現実の狭間にあった現場の苦悩を物語っています。

一般に知られていない盲点とネットの誤解|太陽光発電計画の現状
ネット上の情報では「すでに一面がソーラーパネルで埋め尽くされている」「完全に廃墟化して立ち入れない」といった極端な噂が散見されますが、これらは事実と異なります。
実際には、自治体の厳格な法規制やガイドラインの改定、さらには2021年に近隣の熱海市で発生した土石流災害を受けた「盛土規制法」の施行などを背景に、無秩序な大規模造成計画は事実上の大幅見直し・凍結状態となっています。
ゴルフ場の旧コース敷地は自然の植生遷移によって緑が戻りつつあるエリアも多く、開発事業者側も当初の計画通りの強行突破は不可能な局面に立たされています。「閉鎖=即座にメガソーラー完成」という単純な構図ではなく、自治体・住民・事業者の間での法的な調整や安全性の再検証が長期的に続いているのが実態です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
かつての箱根くらかけゴルフ場のような「山岳リゾートコース」や、その跡地活用に興味を持つ読者に向けて、ゴルフ愛好家および地域不動産・開発ウォッチャーの視点から判断基準を整理します。
- 現存する同系統の山岳コースが向いている人:
- 単調なフラットコースに飽き足らず、高低差や風の読みなど戦略性の高いゴルフを楽しみたい方
- スコアだけでなく、標高の高い山頂からの絶景や大自然のパノラマを重視する方
- 山岳コースの利用を慎重に検討すべき人:
- 足腰に不安があり、カートの乗り入れや平坦なフェアウェイでの快適なラウンドを最優先したい方
- 天候急変や霧によるプレー中断、冬場の凍結リスクをできる限り避けたい方
【箱根くらかけゴルフ場】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:箱根くらかけゴルフ場は現在、一般の立ち入りや見学はできますか?
A1:閉鎖されたゴルフ場敷地は私有地であり、関係者以外の立ち入りは禁止されています。周辺道路や鞍掛山周辺の展望スポットから遠望することは可能ですが、無断進入は厳に慎む必要があります。
Q2:なぜ箱根エリアのゴルフ場は閉鎖や再編が相次いだのですか?
A2:バブル期に過剰供給されたリゾートコースが、人口減少や若者のゴルフ離れで淘汰されたためです。特に気象条件が厳しく維持費の高い山岳コースは、高級路線へ舵を切るか事業撤退するかの二極化が進みました。
Q3:鞍掛山のメガソーラー計画は今後どうなる予定ですか?
A3:自治体の景観保護条例や盛土規制法などの法的ハードルが極めて高くなっており、当初の大規模な一括開発は困難な状況です。環境リスクに配慮した縮小案や自然共生型の計画見直しが求められています。
まとめ:箱根くらかけゴルフ場跡地の教訓と今後の地域動向
箱根くらかけゴルフ場が辿った軌跡は、日本の高度経済成長期からバブル期にかけて隆盛を誇ったリゾート開発の栄光と、その後の構造不況による撤退、そして跡地利用における環境保全の葛藤という、日本各地が直面する課題を凝縮した縮図と言えます。
絶景のコースとして多くのプレーヤーを魅了した記憶は色褪せることはありませんが、私たちがそこから学ぶべき教訓は、「一度開発された自然環境をどのように後世へ引き継ぐか」という重いテーマです。無計画な再開発に歯止めをかけ、防災と景観を両立させた持続可能な土地活用が実現するかどうか、鞍掛山の行方は今後も注視していく必要があります。 (出典: 箱根 くら かけ ゴルフ 場(Yahoo!ニュース))